ビジネスフレームワーク言語の使いこなし方

By Reina on 9月 15 2025
コンサルタントがクライアントにビジネスフレームワークを説明している

コンサルタントとして仕事をする中で、SWOT分析、MECE、3Cなどのビジネスフレームワークを使う場面は多くあります。これらのツールは、複雑な課題を整理し、解決するために欠かせないものです。しかし、こうしたフレームワークの価値は、伝え方を間違えると失われてしまいます。クライアントが専門用語に詳しいとは限りません。業界用語や略語をそのまま使ってしまうと、理解を助けるどころか、かえって混乱を生むことになりかねません。目的は「専門的に聞こえること」ではなく、「分かりやすく伝え、信頼を築き、行動につなげること」です。

以下に、コンサルティングでよく使われる代表的なフレームワークを、クライアントにとって分かりやすい表現に言い換える方法を紹介します。

1.SWOT分析

SWOTは、Strengths(強み)、Weaknesses(弱み)、Opportunities(機会)、Threats(脅威)の頭文字を取った戦略立案の基本フレームワークです。

  • 言い換え前:「包括的なSWOT分析を実施しました。」
  • 言い換え後:「組織の強み弱みを洗い出し、市場の機会と潜在的な脅威を特定しました。」

活用シナリオ:大手製造業のクライアントに対して次のように伝えると効果的です。
「分析の結果、御社の特許技術は強みといえますが、サプライチェーンの複雑さが弱点になっています。新興市場への進出は大きな機会ですが、国際的な新しい関税制度は重大な脅威となり得ます。」

2. MECEの原則

MECEMutually Exclusive, Collectively Exhaustive)は、「重複がなく、漏れもない」形で情報を整理するための思考法です。

  • 言い換え前:「この分析はMECEに構造化する必要があります。」
  • 言い換え後:「それぞれの項目が重ならず、全体で課題を網羅できるように整理しましょう。」

活用シナリオ:世界的な小売業者の売上減少の原因を報告する際には、次のように伝えることができます。
「調査の結果、売上減少の主な要因は3つあります。実店舗の来店者数の減少、オンライン競合との価格競争、そして顧客満足度の低下です。これらは重複せず、全体として売上減の理由を説明しています。」

3. 3C分析

3Cモデルは、Company(自社)、Customer(顧客)、Competitor(競合)の3つの視点から戦略を考えるフレームワークです。

  • 言い換え前:「新規市場参入戦略は3Cに基づいています。」
  • 言い換え後:「自社の強みや課題を整理し、顧客ニーズを把握した上で、競合他社の動向も分析して戦略を立てました。」

活用シナリオ:通信会社が新サービスの導入を検討している場合には、次のように説明できます。
「この戦略は3つの観点から構築しました。まず、既存のネットワークインフラという自社の資産を評価しました。次に、高速通信への顧客ニーズを分析しました。そして、主要な競合他社が展開している新サービスも比較検討しています。」

まとめ

コンサルティングにおける最大の武器は「わかりやすさ」です。フレームワークを使って思考を整理するのは重要ですが、それ以上に、それを誰にでも理解できる言葉で伝えることが求められます。

シンプルで明確な言葉を使えば、クライアントとの信頼関係が深まり、提案内容に対するアクションも促しやすくなります。専門用語に頼るのではなく、伝わる言葉で価値を届けていきましょう。