プロフェッショナルなコンサルタントにとって、CEFR*レベルのB1(中級)からB2(中上級)へのステップアップは、単なる語学力の向上ではありません。それは、グローバルなビジネス環境で「なんとかやり過ごす」段階から、「しっかりと成果を出す」段階への移行です。
B1レベルでは、多くの日常的なビジネスシーンに対応でき、機能的なコミュニケーションが可能です。しかし、B2レベルになると、複雑なクライアント対応、戦略的な議論、そして高いレベルでの意思決定に貢献するための語彙力・表現力が身につきます。
以下の表は、CEFRの各レベルでできることを示したものです。
| CEFR | 英語でできること |
| A1 | あいさつができる。自分の名前を言える。「元気ですか?」と聞ける。少しだけ聞き取れる。 |
| A2 | 自分の家族や仕事、趣味について話せる。昨日の出来事を簡単に話せる。短い文で話す。相手がゆっくり話してくれれば、少し理解できる。 |
| B1 | 旅行中によくある状況には対応できる。自分の経験や希望、夢について話せる。意見やストーリーを伝えられるが、よく間違える。少しずつ自立してきた段階。 |
| B2 | ネイティブスピーカーと流暢かつ自然に話せる。具体的な話題だけでなく、抽象的なテーマについても理解し議論できる。幅広い話題について話せ、語彙も豊富だが、時には言葉を探すこともある。 |
| C1 | 社会的、学術的、職業的な場面でも柔軟かつ効果的に言語を使える。長くて難しい文章も理解でき、文脈の裏にある意味も捉えられる。複雑なテーマについても論理的かつ洗練された語彙で明確に表現できる。 |
| C2 | 英語をほぼ完璧に使いこなせる。聞いたり読んだりしたものはすべて難なく理解できる。自発的かつ非常に流暢に、細かな意味の違いまで正確に表現できる。複数の情報源から内容を要約し、一貫した主張を組み立てられる。 |
それでは、B1からB2への違いをもう少し詳しく見てみましょう。
「通じればOK」から「微妙なニュアンスまで伝える」へ
B1では、「通じること」が最優先のゴールです。ですが、B2になると「正確に伝えること」ができるようになります。例えば、
- 「problem(問題)」と「dilemma(板挟みの状況)」を使い分けられると、クライアントの課題をより的確に表現でき、深い理解を示すことができます。
- また、「reduce / make less bad(減らす/悪化を防ぐ)」から「mitigate(リスクを軽減する)」へと語彙をレベルアップさせることで、リスク管理や戦略的解決策について、よりプロフェッショナルに話すことができます。
「短い文」から「論理的な構成」へ
B1レベルのコミュニケーションは、短く直接的な文で成り立っています。これでも日常報告などには十分ですが、クライアントを動かすには力不足です。
B2では、関係代名詞やさまざまな接続詞を使って、複雑な構造の文章を構成できます。これにより、「課題」と「解決策」を明確に結びつけた報告書を書いたり、「データ」と「提案」を論理的に結びつけたプレゼンテーションを行ったりすることが可能になります。
「自分の意見」から「戦略的な分析」へ
B1では、身近なトピックに対して自分の意見を述べることができます。
しかし、B2になると、構成のある主張を展開し、根拠を示し、選択肢の長所と短所を比較することができるようになります。これはコンサルタントにとって非常に重要なスキルであり、単に「意見を伝える人」から、「複雑な意思決定を導く信頼できるアドバイザー」へと進化することを意味します。
大きな飛躍だが、不可欠な一歩
本質的に、B1レベルは「計画を実行するチームメンバー」のレベルであり、B2レベルになると「計画を立て、根拠を示し、他者を説得できる」コンサルタントになります。
英語においてB1からB2へのステップは大きく感じるかもしれませんが、プロとしてグローバルに活躍するためには欠かせない飛躍です。
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*CEFR(Common European Framework of Reference for Languages:ヨーロッパ言語共通参照枠)とは、語学力をA1(初級)からC2(熟練)までの6段階で示す国際的な基準です。